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多摩モノレールの延伸

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2018年9月13日

 多摩モノレールといえば、東京都と沿線鉄道事業者、金融機関、沿線自治体などの出資で設立された第三セクター鉄道会社の「多摩モノレール株式会社」が運営する地域インフラだ。 1998年に北端の上北台駅(東京都東大和市)~立川北駅間が開業し、00年には同駅から多摩センター駅(同多摩市)間が開業し、現在の営業距離は約16㎞になる。 開通以前は南北方向の交通手段が乏しく鉄道空白地帯だった同エリアにおいて、多摩モノレールに対するニーズは強く、開業から乗客数は右肩上がりを続け14年弱で乗客は5億人を突破、モノレールでは国内最速だという。 玉川上水駅や立川駅、高幡不動駅、多摩動物公園駅、多摩センター駅といった接続路線も豊富にあり、利便性も申し分ない。本業の収益性を占める営業損益も開業6年目の05年に黒字に転換し、一時は借入金の返済が経営を圧迫して債務超過に陥ったが、都などの支援で解消することに。08年以降は当期純利益も黒字で推移し、16年度は10億円を超えた。  そんな多摩モノレールで常に取沙汰されているのが「延伸」に関する話題だが、今年に入り気になるトピックが2つあった。  一つ目は、東京都武蔵村山市の「モノレールを呼ぼう! 市民の会」が2月9日、箱根ケ埼方面への早期延伸を求める要望書を小池都知事に手渡している。これは、同モノレールなどの事業化に関連する「都鉄道新線建設等準備基金(仮称)」が都の18年度予算案に計上されたのを踏まえてのこと。ルートとなる新青梅街道におけるすべての区間で工事認可は取得していて、ゴーサインが出ればすぐにでも工事に着工できそうだ。  二つ目に、町田方面への延伸は交通政策審議会の答申で「意義あるプロジェクト」に位置付けられたことから、6月に開催された早期延伸を目指すシンポジウムでは、市長が早期実現に意欲を見せる場面も。着工が認可されると、はやければ32年に実現するという声もあったという。同路線は約13㎞の計画で、うち7㎞の導入空間がすでに確保されていて、こちらも実現性は非常に高い。市は延伸による経済波及効果を年およそ412億円と見込んでいて、地域活性化にもつながる。  用地や予算の問題はあるが、箱根ケ埼、町田方面のいずれも確度の高いトピックであることに変わりはない。実現すれば西多摩から町田市までを縦断する路線ができるインパクトは大きく、地域住民の生活は変わるだろう。立川や町田の都市規模は非常に大きく、これまでは都心までショッピングに出ていたという東西の人の流れが南北にシフトする可能性がある。商業施設などのインフラも含めて街の利便性が向上すれば人口増加にもつながりやすい。緑のあるなかでのんびり暮らしたい、あるいは子育てしたいといったニーズをキャッチできるのではないだろうか。形になるのはまだ先の話だが、今後の動向に注目したい。